「ITS America 年次総会 2016」参加報告を掲載しました
【開催概要】
会期: 2016年6月12日(日)-16日(木)
会場: McEnery Convention Center, San Jose, California
テーマ: Integrated Mobility. Transportation Redefined.
「統合的移動システム。交通の再定義。」
主催: ITS America
Web: https://itsamerica2016.org
規模: 参加者数 約1,700人
【Keynote Speech】
Plenary 1“Wheels & Things”
自動車、自転車、バス、地下鉄、トラック、ドローンまでもが輸送手段としてつながり、Smart Cityが形成される。
登壇者 Sam Liccardo, San Jose市長
Malcolm Doughty, California州運輸局長官
Jill Ingrassia, ITS America会長
Regina Hopper, CEO, ITS America
ほか
基調講演 Seval Oz
CEO, Continental Intelligent Transportation
Systems
自動運転の実用化が社会にどのような変容を
もたらすかについて講演。
Plenary 2“Infrastructure of Things”
あらゆる種類の輸送手段が接する相手方となる物理的なインフラやそれらをつなぐ「接着剤」となる通信手段。交通管理システムはどのように進化するのか。セキュリティはどう確保するのか。「深層学習」のような新しい技術はどう作用するのか。
登壇者 Norman Mineta, 元連邦運輸省長官
Walter McCormick, CEO, US Telecom
Praveen Singh, Vice President, Lear Corporation
ほか
基調講演 Jim Zemlin
Executive Director, Linux Foundation
OSとしてオープンソース化に先鞭をつけたLinuxは、
世界のサーバーの大半で利用されるようになった。
システムを構成するソフトウェアの多くでオープン
ソース化が進み、コスト、納期、信頼性が劇的に
向上した。このようなトレンドについて事例とデータ
に基づき語った。
Plenary 3“Show Me the Money”
ITSサービスの背後には、持続可能なビジネスモデルが必要である。資金の流れを作る支払いシステム、保険のスキーム、公共事業といえども公共投資を正当化する社会的便益と民間と連携した資金調達の仕組みが必要である。
登壇者 Gregory Winfree, 連邦運輸省次官補
Rodney Slater, 元連邦運輸省長官
ほか
基調講演 Frank P. DiGiammarino II
State and Local Government –
Amazon Web Services
データストレージと計算処理機能をインターネット上で
提供するクラウドサービスが普及してきた。大容量、
高速、低コストで短期間に運用開始することができる。
NASAの火星探査プロジェクトもAmazon Web Service
を利用している。多くの事例とともに急速に進展する
新たなモデルについて語った。
【主なセッション】
US DOT JPO Workshop: Accelerating ITS Deployment Day
米国連邦運輸省がITS Strategic Plan 2015-2019に基づき重点的に取り組んでいる下記のテーマについて個々に詳しい説明があった。
1) 協調型システム (Connected Vehicles)
2) 自動運転 (Automated Vehicles)
3) 課題対応力の拡大 (Emerging Capabilities)
4) データ活用 (Enterprise Data)
5) 相互接続性 (Interoperability)
6) 実用化加速 (Accelerating Deployment)
US DOT Modal Administrators Session
米国連邦運輸省の道路、安全、海運、運送業、公共交通を担当する各局の局長級が登壇し、ITSの活用について議論した。
Autonomous Vehicle Regulations: Who, What, When, Where & Why?
自動運転の実用化のためには、車両の安全確保のための基準作りと基準適合の評価方法、及び、公道上の走行方法を定める必要がある。車両の基準は連邦運輸省、走行方法は州政府という役割分担となっている。カリフォルニア州は既に実験走行のための基準を設け、実用走行のための基準案も公表している。連邦運輸省は、従来の枠を超えて、走行方法に関する基準作りのひな形も提示することを表明した。
US DOT V2V and V2I Update
連邦運輸省は、ミシガン州で行った大規模実証実験の結果から、協調型シ
ステムの交通安全への寄与が大きいと判断し、全車への通信車載機装着義務づけの手続きを進めている。それを前提に、路側システムを整備することにより、路車協調型システムの実用化も目指し、ニューヨーク市、タンパ市(フロリダ州)、ワイオミング州(I80号線)での大規模実証実験の準備を進めている。さらに、都市交通に着目して都市全体の課題を解決するSmart City Challengeの対象都市の選定を進めている。(6月23日にオハイオ州コロンバス市に決定)これらの進捗と課題について最新の情報が提供された。
Spectrum Roundtable: What Does the FCC Think About Intelligent Transportation?
1999年、FCC(Federal Communications Commission)は5.9GHz帯75MHz幅をITS用に割り当てたが、実用化はこれからの段階である。そのような中でWi-Fiの周波数需要が急拡大し、通信業界では未実用化の5.8GHz帯をWi-Fiと共用化する要望が強い。2013年2月、FCCは共用化を認める方向の手続きに入った。連邦運輸省は、事故防止のための生命の安全に関わる通信が影響を受けることがないことを保証するよう要求している。このセッションでは、それぞれの立場を代表する顔ぶれが議論を行った。