第14回ITSシンポジウム2016 プログラム

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大会委員会

最終プログラムはこちらをご覧ください.

基調講演

 11月10日(木) 10:15-11:00
北海道内ものづくり企業の連携グループによる寒冷地仕様EVの研究開発
  ~ITSとの連携による効果的なEVの利活用を目指して~

(独) 中小機構北海道は,北海道内のものづくり企業による「ものづくり連携グループ」の形成・運営を支援し,同グループは,冬期間の雪道を安全・安心に走行できる「寒冷地仕様小型電気自動車」の研究開発を推進してきた.今後ITSとEVが連携することで,観光,宅配,中山間地域,介護などより効果的なEV利活用の可能性が広がり,地方創生の実現にも寄与できる.

本講演では,本研究開発により製造され,札幌モーターショー2016に展示された試作車,「Neicle(ネイクル)」が完成するまでの背景,プロセス,課題,仕様・性能等やITSを踏まえた今後の小型EVの利活用の可能性などについて紹介する.

キーノートスピーカ
松尾 一久       独立行政法人中小企業基盤整備機構北海道本部 経営支援部長

企画セッション 

11月10日(木) 16:00-17:30
セッション1「ふゆのくらしとITS

積雪寒冷地域のふゆのくらしでは,豪雪災害や日常的な暴風雪・路面凍結など安全性・確実性にかかわる対応を含めた寒冷地モビリティが重要な課題となっている.特に,過疎化・高齢化が進む北海道の生産空間においては,過酷な冬期気象状況下のモビリティ確保が今後のくらしの継続性を担保するうえで重要なカギとなっている.

本セッションでは,これらの課題に応じてこれまでの対応を振り返るとともに,昨今の急激な気象変化や地域の高齢化・過疎化を見据え,近未来の技術動向やふゆのモビリティについて議論する.

モデレータ
萩原 亨          北海道大学大学院 工学研究院北方圏環境政策工学部門技術環境政策学分野 教授

パネリスト
松澤 勝          国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所 上席研究員
金田 安弘       一般社団法人北海道開発技術センター 調査研究部 統括部長
渋谷 高志       ヤマト運輸株式会社 北海道支社 マネージャー 兼 安心生活創造事業推進室 室長
桜井 あけみ    斜里町議会議員

 

11月11日(金) 9:30-11:00
セッション2「自動運転の今: 期待と課題」

現在自動車の自動運転に関する研究が各所で行われており,近い未来に様々な自動運転機能を持った自動車が発売されることが期待されている.自動運転機能が搭載されることにより,人間に起因した事故件数の減少・被害規模の軽減が期待でき,また高齢過疎地域における公共交通機関の不足といった大きな問題を解決することも可能になると考えられる.このため,自動運転システムの社会への導入はモビリティの革新をもたらす意義深いものと考えられる.

一方,完全自動運転によるいわゆるDoor-to-doorの自動運転システム導入にはまだ多くの課題が残されているのも現実であり,完全自動運転システムへの期待と現実の課題を正しく理解し適切な情報発信を行わない限り,様々な問題を引き起こす可能性も秘めている. そこで本セッションでは,技術・法律・保険・社会的受容性に関連した専門家を招聘し,自動運転に関連した現状について理解する.また将来への期待と課題について議論を深める.

モデレータ
菅沼 直樹       金沢大学 新学術創成研究機構 未来社会創造コア自動運転ユニット
                    ユニットリーダー / 准教授

パネリスト
今井 猛嘉        法政大学 大学院法務研究科 教授,弁護士
沓沢 一晃        東京海上日動火災保険株式会社 営業企画部 マーケティング室 
                     グローバルマーケティンググループ 担当課長
三橋 剛           北海道 経済部産業振興課 産業振興課長

 

11月11日(金) 14:00-15:30
セッション3「産業と社会の発展に挑むITS」

ITSの発展による波及効果と期待を農業分野,漁業分野から伺うとともに,ITS側からの産業界への寄与となる可能性について,パネルディスカッションを通じて議論を行う.

モデレータ
鈴木 恵二          公立はこだて未来大学 複雑系知能学科 教授

パネリスト
平藤 雅之          国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 教授
和田 雅昭          公立はこだて未来大学 情報アーキテクチャ学科 教授
松舘 渉             株式会社未来シェア 代表取締役 / 株式会社アットウェア
堀口 良太          株式会社アイ・トランスポート・ラボ 代表取締役

対話セッション (ポスターによる対話型セッション)

78編の論文が発表されました.詳しくは最終プログラムをご覧ください.

●ベストポスター賞
内容の新規性や社会的有用性、ポスターのわかりやすさ,簡潔で明快な説明力や質疑における回答力を審査の対象として,モデレータによる選考を行いました.受賞されたのは以下の9名の方々 (〇印)です.

1-A-07
安全運転と円滑運転を促す運転支援システムがドライバの動機づけと運転技能に与える影響

〇平岡敏洋, 橘崇弘(京都大学)

 

先行研究で構築された運転支援システムに交通流を考慮した要素を盛り込むことにより,実現性のある提案をされており,今後の研究継続が更に期待される.ポスター構成についても訴求点が明確にされており,当該技術に詳しくない人にもわかりやすく表現されていた.また,発表時の質疑に関してもわかりやすい表現,かつ論点も明確にされており,研究内容の理解をより深めることができ,研究内容を客観的に捉えられ,周辺技術に対する位置づけも明確にされていた点が高く評価された.

1-B-05
対向車線の車両観測データを用いた交通流モニタリング -Variational Theoryの適用

〇河合克哉(三菱電機), 竹之内篤(東北大学), 伊川雅彦(三菱電機), 桑原雅夫(東北大学)

 

交通流理論研究で注目されているVariational Theoryの新たな適用事例として,対向車線側の交通状況の観測データを活用し,交通状態の推計手法を提案している.シミュレーションデータでの検証ではあるが,固定式の観測データと同程度の推計精度が確認されたこと,今後の普及も期待されるため,本発表をベストポスター発表賞に推薦する.

1-C-10
街のナビゲータが描く地域発ITSモデルの発展形

〇森田均(長崎県立大学), 松坂勲, 山口泰生(長崎電気軌道),
曾理恵子, 酒井寿美雄(協和機電工業)

 

ITS研究については基礎技術的な研究,検討も多いなか,実際に地域のバス停にビーコンを配置し,位置情報を利用可能にするレベルまで実装している.役に立つITSという観点で実証実験をこえて実運用まで実現している点や今後の応用も期待できる点が高く評価された.

2-A-04
公用車のドライブレコーダーを活用した交通安全施策への適用方法に関する研究

〇後藤秀典(オリエンタルコンサルタンツ), 有賀浩一, 内藤義之(柏市役所),
田中淳, 大近翔二(オリエンタルコンサルタンツ)

 

本研究は,市街地をくまなく走行する各種公用車に着目し,ドライブレコーダーを装着することで市街地のヒヤリハットデータを収集した.そのデータに基づいて,公用車の運転者教育に活用するだけでなく,ヒヤリハット多発地点の特定と改善や,安全運転教育への活用などといった事例を紹介している.本研究は,実用性があるだけでなく,市民へのITS技術の展開という点において,社会的有用性に優れた研究である.さらに,ポスターの見やすさや質疑応答も優れており, ベストポスター賞として推薦する.

2-B-03
道路カメラ画像およびGPV気象予報にもとづく道路構造・沿道環境を加味した吹きだまり深さ予測技術の開発

〇間山大輔, 星野洋, 正岡久明 (シー・イー・サービス), 萩原亨(北海道大学),
金田安弘, 越後謙二, 永田泰浩(北海道開発技術センター)

 

本発表は,道路カメラ画像や気象情報,道路沿道環境データなどを用いて,雪の吹きだまり箇所,深さを予測する技術を提案している.精度向上に向けて改善点はあるが,実際のデータに基づいて予測を行い,情報提供するシステムを提案しており,積雪地域の交通,道路管理における貢献は大きい.個別技術の集約による今後の発展も期待できるためベストポスター賞としてふさわしい.

2-C-05
ETC2.0プローブデータの拡充に関する調査研究

〇半田悟, 成田俊彦, 高橋勝則, 千田浩一, 三好孝明(道路新産業開発機構)

 

本研究は,ETC2.0プローブデータの拡充に向けて調査研究をしており,道路交通を取り巻く環境も大きく変化している現在,そして将来の様々なサービスへの影響は大きく,取り組みが期待できる.今後さらに,プライバシー保護,道路事業者との調整等の課題の検討も期待したい.

3-A-05
ドライビングシミュレータを活用した地震発生時の運転挙動分析

〇中村俊之, 宇野伸宏(京都大学), 玉川大, 八ツ元仁, 北澤俊彦(阪神高速道路)

 

ドライバによる地震発生時の揺れに対する認知や運転挙動の影響について,ドライビングシミュレータを用いた実験により分析を行っている.導かれた有用な結果は,想定される大地震への対策に多大な貢献が期待できる.ポスター,発表の説明,質疑含め,研究者のお手本となるプレゼンテーションであり,高く評価した.

3-B-07
商用車プローブデータの挙動履歴を活用したITSサービスの展開

〇仲条仁(ケー・シー・エス), 田中準二(矢崎エナジーシステム株式会社),
今井龍一(東京都市大学)

 

従来のデジタルタコメーターに新たにドライビングレコーダーの画像データを加えることで,商用車プローブデータの挙動履歴記録をより精緻化することができる.このように付加価値の高いプローブデータを用いることで実現する新しいITSサービスの社会的有用性について,視覚的に分かり易いポスターを用いて短時間で明瞭かつ端的に発表した点を高く評価し,受賞理由とした.

3-C-09
冬期道路有効幅員の効率的な計測技術
佐藤信吾, 住田則行, 村上和也(土木研究所寒地土木研究所)

 

既存の技術の集約ながら,寒冷地特有の問題解決に向けて道路管理の現場からの技術発信であることを評価した.

 バンケット 11月10日(木)

会場: レストランエルム
(北海道大学ファカルティハウス エンレイソウ内)