第10回地域ITS推進団体連絡会(2014年2月13日)
地域ITSの活動として2月に実施した、地域ITS推進団体連絡会の実施状況を紹介します。
テーマ :地域からはじめるNext ITS
〔 副題:~持続可能なまちづくりへの活用~ 〕
開催日時 :2014 年 2 月 13 日【木】 13:00 ~ 17:00
開催場所 :静岡県研修所 もくせい会館(静岡市内)
参加者 :ITS 関係4省庁、地域ITS 推進団体、ITS Japan、ITS世界会議2013日本組織委員会
〔参加者数:36名〕
地域ITS 推進団体連絡会は例年1回開催しており、今回で10回目を数えます。ITS Japan に特別会員登録をいただいている地域ITS 推進団体と、ITS 関係4省庁に加え、昨年と同じく国土交通省総合政策局(総合交通体系)からもご参加いただきました。
〔プログラム〕
第1部
1.開会の挨拶
2.新規設立団体の紹介 〔ふじのくに静岡ITS推進協議会の取組〕
3.ITS Japanからの報告 〔今年度の活動〕
4.話題提供/取組紹介
(1) 遅い交通とまちづくり (松山市都市整備部都市政策課)
(2) 塩尻市のIT化施策と交通分野での活用 (塩尻市協働企画部情報推進課)
(3)ICTを活用した市民協働による地域課題の解決 (千葉市市民局)
第2部
5. 参加団体からの報告(地域の活動/取組紹介)
(1) 地域のITS 推進団体からの報告(各団体)
(2) 国土交通省総合政策局(総合交通体系)からの話題提供
・ユニバーサル社会に対応した歩行者移動支援サービス
6.ディスカッション
テーマ:まちづくり政策や都市計画の中でIT/ITSができること
第1部では、昨年新しく設立された、地元静岡県のふじのくに静岡ITS推進協議会から取組みを紹介いただき、次いでITS Japan から今年度の活動報告を行い、続いて今年ITS Japanが注目した3つの自治体の取組みを紹介していただきました。
第2部では、参加団体の取組みや活動を報告していただいた後、全員でテーマについてディスカッションを行いました。
〔第1部の話題提供/取組み紹介の概要〕
- 松山市からは、パーソンプローブによって人や自転車の詳細な移動が捉えられて中心市街地の設計と検証に役立っていることが紹介された。
- 塩尻市からは、国費で市内の居住エリアに640台の小電力無線網を整備したことで、その後は安い維持費で無線通信を含むセンサーネットワークのインフラを運営していること、そのインフラの上で、老人や子供の見守りシステム、バスロケシステム、防災システム、など、種々の市民のためのアプリケーションやサービスが、それらを担当する行政部門によって構築されていることが紹介された。加えて、この情報通信インフラを維持し継続するため、地場の民間企業へ業務委託をしたり、オープンソースエンジニアの育成等の事業創出と人材育成も行っていることが紹介された。
- 千葉市からは、「ちばレポ」の実証実験が2013年12月27日に終了し集計された結果が紹介された。またこの活動に対する市民や議会の反応等、苦労話も披露された。2014年度からは、本番用のシステム開発と市民参画の仕組みを構築し本運用を開始する予定とのこと。 事例紹介では、3つの市の講演者が皆、市民の合意形成や市議会の理解を得る上では、実態を示すデータを用いて説明できる事(データサイエンス)がとても重要である、とおっしゃっていたのが印象的でした。
〔第2部の活動報告の概要〕
- 静岡県からは各道路管理者の情報や防災情報を統合して提供しているシステムや「ゆずりあいロード支援システム」「オープンデータカタログ」、ポータルサイトの「みちナビしずおか」等が報告された。
- 横浜市と豊田市からは超小型モビリティの実証実験が報告された。横浜では申し込み者が多く、利用に先立つ運転講習が順番待ちになっているとのことであった。
- 長崎県(長崎県立大学の森田先生) 及び 国土交通省総合政策局からはユニバーサル社会に対応した歩行者移動支援サービスの取組み(長崎の『ドコネ』、他)が報告された。
- 愛知県からは今年度から始めた推進協議会会員(研究所、大学、企業)から交通安全に資する提案を募る活動について報告された。県内自治体と調整して実際の道路に設置を考えているとのこと。
〔第2部のディスカッションの概要〕
3つの市から提供された内容について、実施の費用、国の支援の有無、市役所内の他部門との連携、市民や市議会の声、他の自治体でも実施は可能か、などの具体的で現実的な質問が多く出されました。
〔最後に〕
今回の連絡会は、「まちづくり」という、従来よりも広い領域に対するIT/ITSの適用をテーマとしましたが、地域における交通や移動の課題の根っこや、解決の糸口も、持続可能なまちづくりの在り方と深く関係しているように思われました。まちづくりに関係する話題について、討議の場で参加者から質問や意見が多数出された事は、IT活用によるまちづくりの取組みの中に、交通や移動の課題を解決できる可能性を感じたからではないかと思いました。
IT/ITSを活用できるフィールドの広がりを強く感じた連絡会でした。
〔地域ITS推進団体連絡会風景〕
地域ITS推進団体連絡会の様子-1
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《 参考資料紹介 》
・地域ITS推進団体連絡会とは?
・第10回地域ITS推進団体連絡会 プログラム