第1回 アジア太平洋地域ITSセミナー(1996 東京)

開催概要

【会期】 1996年9月24日(火) ~ 25日(水)
【会場】 東京/東京ヒルトンホテル
【テーマ】 アジア太平洋地域のITS実現のための相互理解と協力関係の構築
【参加国・地域】 13
【参加者数】 685名
【論文数など】 論文:40

開催報告

9月24日(火)に実施したテクニカルビジットは、日本の官・民の最先端ITSプロジェクトの実験デモ、ITS関連の研究開発及び既に実用化が開始されている施設等、5つのコースに分かれて実施しました。どのコースも先進のITSの実態を紹介し、理解して頂くのに大変意義深かったと思います。

翌9月25日(水)に行われたセミナーはオープニング、4セッション、4ラウンドテーブル及び、総括セッションにより構成されました。オープニングは、越正毅組織委員長の開会の辞に始まり、ご来賓を代表して、中尾栄一建設大臣のご挨拶を橋本鋼太郎建設技監が代読され、豊田章一郎VERTIS会長が主催者代表の挨拶をしました。セッションでは、海外招待者から各々の国/地域の交通の現状、改善のための施策等について発表された「アジア太平洋地域の交通事情とITSへの期待」及び日本のITS関係五省庁による「日本のITSの現状」の2つのテーマを扱い、これまで日本であまり紹介されていなかったアジア太平洋地域の交通事情と、日本政府のITSの取り組みの現状についての講演がなされました。

ラウンドテーブルでは、海外招待者、及び日本の官・学・民代表からなるパネリストにより、アジア太平洋地域でのITSの普及・実用化を推進するための方策、今後のITS協力体制等について活発な意見交換がありました。 いずれのセッション、ラウンドテーブルとも、各講演者により周到に準備され、各々の発表は、熱気を帯びたものでありました。アジア太平洋地域は世界の成長センターとして急速な経済発展を遂げている反面、深刻な交通渋滞、大気汚染等の都市交通がもたらす諸問題の対応に苦慮しており、各国/地域からの出席者がこれら交通問題の抜本的解決の切り札としてITSへの期待がいかに強いかが実感されました。

総括セッションでは、各ラウンドテーブルのまとめに続き、井口雅一VERTIS理事長が全体の総括として、

  1. 急速なモータリゼーションとそれに追いつかないインフラ整備
  2. 自転車・モペット・車の混合交通への対応
  3. 多数の巨大都市での鉄道・車の連携の必要性

の3点がアジア太平洋地域の共通課題としてあり、アジアでこの課題を解決できれば、世界が抱える交通問題の解決に貢献できるという期待を表明されました。

最後に、

  1. 1997年に、第2回セミナーを開催する
  2. 常置委員会を設置し、開催場所・時期を検討する

二つの提案がなされ、満場一致で採択されました。

セッション終了後、バンケットを催し、参加された方々は和やかに懇親を深められた後セミナーは全日程を無事終了しました。

このように「第1回アジア太平洋地域ITSセミナー」は参加者数、内容とも開催前に期待していた以上のものとなり、セミナー開催の最大の目的であった「アジア太平洋地域のITS実現のための相互理解と協力関係の構築」について、成果をあげることができたと考えております。