第15回ITSシンポジウム2017 プログラム

開催概要 プログラム 会場のご案内

大会委員会

最終プログラムを掲載しました。こちらをご覧ください.

開会式

12月7日(木) 10:00-10:15

実行委員長挨拶    安浦 寛人      九州大学 理事・副学長
主催者挨拶          佐々木 眞一   特定非営利活動法人ITS Japan 会長

基調講演

 12月7日(木) 10:15-11:15
「自動運転車普及までと普及後の人の運転事故防止対策」

自動運転車が普及するまでは、人が自動車を、全行程、運転せざるを得ない。また、自動運転車の普及後であっても、自動運転システムの故障は無ではないと考えられるので、人が自動車を運転せざるを得ない状況は無とはならないであろう。事故防止のための運転者対策に関し考察する。

キーノートスピーカ
松永 勝也    九州大学 名誉教授
                一般社団法人安全運転推進協会 代表理事

企画セッション 

12月7日(木) 11:30-13:00
セッション1「大災害時にも役立つITS」

自動車の衝突予防など安全面から始まったITSは,自動運転やシェアリングなど新しい革新技術やサービスの実現を目指して発展している.その新しい方向として,ウェアラブルITSや車による情報ネットワークを活用した大災害時の防災・減災システムの開発がある.具体的には,

①車のセンサーなどを活用したきめ細かい双方向・多言語の災害情報提供と収集
②スマホとのメッセージ通信機能を車に装備することにより通信キャリアが使えなくなった非常時でも地域内で必須の通信を確保すること
③瓦礫に埋もれた人や水害で孤立した人の救助などにウェアラブルなITSを活用すること
④障害者や移動困難な人の移動手段の確保と災害システムとの連携

などがある.こうした技術開発とアジアも含めた普及へ向けての取り組みを議論する.

モデレータ
井上 友二          株式会社トヨタIT開発センター 顧問

パネリスト
千村 保文          一般社団法人情報通信技術委員会 コネクテッド・カー専門委員会 委員長
                       沖電気工業株式会社 経営企画本部政策調査部 主幹
土居 義晴          株式会社トヨタIT開発センター 研究1部ITS無線G グループリーダー
柴田 智広          九州工業大学大学院 生命体工学研究科 教授
富田 二三彦       国立研究開発法人情報通信研究機構 理事

 

12月8日(金) 9:50-11:20
セッション2「九州の観光とITS」

インバウンド訪日外国人旅行者は年間2,000万人を突破した.その5人に4人はアジアからの来訪客である.九州は地理的にも歴史的にもこのアジアに近く,アジアの客を乗せた大型クルーズ船の寄港回数は拡大を続けている.しかし,観光を目的とした国内の移動の利便性や安全性は必ずしも高くない.また,地域再生のためにも今後の観光は目的地の競争力を高める観光商品を顧客に提供する着地型モデルに移行すると思われる.本シンポジウムでは,九州における観光の取り組みや動向について、官民から取り組みや話題を提供し、ICTと人のかかわりや、ITS技術、地域に係わる種々のビッグデータ分析によっていかにモビリティ水準をいかに高め,潜在的な顧客や商品を発見,開発するか,その可能性について議論したい.

モデレータ
溝上 章志         熊本大学大学院 先端科学研究部 教授

パネリスト
阿部 雄介         国土交通省 九州運輸局 観光部長
髙橋 誠          一般社団法人九州観光推進機構 エグゼクティブアドバイザー
浦上 英樹         株式会社くまもとDMC 専務取締役
前 浩久            西日本高速道路株式会社 九州支社 保全サービス事業部長

12月8日(金) 11:30-13:00
セッション3「地域の『くらしの足』におけるITSのこれから」

2007年に地域公共交通活性化・再生法が施行され,2014年には交通政策基本法も施行されて,「くらしの足」を地域主導で維持しようとする動きを公的に支援・制度化している.そしてそういった動きが各地で多々見られるが,自家用車化の進むなか,公共交通のような「くらしの足」における情報・情報技術がどのようにあるべきか,という議論はなかなか進んでこなかったと考えられる.このセッションでは,アナログ・デジタル問わず「情報」の「くらしの足」における位置づけやありかたを再考し,「くらしの足」におけるITSのこれからのありかたを考えていきたい..

モデレータ
大井 尚司          大分大学 経済学部門 准教授

パネリスト
阿部 俊彦          国土交通省九州地方整備局 道路部 道路調査官
稲永 健太郎       九州産業大学 理工学部情報科学科 准教授
貞包 健一          有限会社三ヶ森タクシー 代表取締役
城代 寛昭          株式会社ニモカ 代表取締役社長
森田 均             長崎県立大学 国際社会学部教授 地域連携センター長

対話セッション (ポスターによる対話型セッション)

95編の論文が発表されました.詳しくはプログラムをご覧ください.

●ベストポスター賞
研究内容の新規性や社会的有用性、ポスターのわかりやすさ,簡潔で明快な説明力や質疑における回答力を審査の対象として,モデレータによる選考を行いました.受賞されたのは以下の9編の方々 (〇印が発表者)です.おめでとうございます!

1-A-04
道路特徴量を利用した空撮画像レジストレーション
○小笠原共志, 佐治斉(静岡大学)

研究テーマは、限られた取得画像(映像)を速やかで広範囲、かつ有用な基礎資料にすることを目指しており、今後の災害時での実用化に期待するものである。選考時の最初の1分の説明が明快でわかりやすく、はきはきとしたプレゼンテーションが好印象。また、公開討議での説明も課題と今後を明確にしてわかりやすい対応ができていたことを評価し、授賞理由とする。

1-B-11
動的計画法を用いた車両組み合わせ及び交通状況の推定
○萩原武司(阪神高速道路), 櫻木伸也(オムロン), 阿部敦(オムロンソーシアルソリューションズ)

既存のセンサを使って,車を2種類に分類するのみで,交通状況を動的計画法により可視化した手法が独創的であった.新しい交通モニタリング手法になりうる可能性を秘めており,今後のさらなる成果が期待される.

1-C-03
ETC2.0プローブ情報を用いた環状高速道路の交通状態推計に関するケーススタディ
○後藤梓, 大嶋一範(国土技術政策総合研究所), 山田康右(パシフィックコンサルタンツ)

説明がわかりやすく、研究のアプローチ(少ないETC2.0のデータを他のデータで補足する)も現実的で優れている。論文に示されたデータの分析結果も信頼できる。 

2-A-09
路面プロジェクションに関する視認性評価及び設置パターン検証
○髙橋功, 松尾幸二郎, 米川元太, 杉木直(豊橋技術科学大学), 寺倉嘉宏(キクテック)

本研究は、ドライビングシミュレータを用いて小規模交差点への路面プロジェクションの効果的な投影パターンを検証しており、横方向の文字表記やピクトグラムにより視認性・前方注意意識が高くなる知見を明らかにしている。研究成果は新規性や社会的有用性も高く、今後の展開も期待される。また、ポスターにも当該研究の訴求点が明示されており、明瞭・積極的姿勢のプレゼンテーションや質疑応答であったことも高く評価した。

2-B-06
Kinematic Wave理論に基づく
工事・事故時の交通規制による影響の簡易評価シミュレーションの開発

○高橋浩司, 堀口良太(アイ・トランスポート・ラボ)

インシデント発生後は、管理者による迅速な対応が求められる。そうした中で、簡易かつ高速処理可能なシミュレーションを構築したことは称賛に値する。構築したモデルは、理論が保障されている点も評価が高い。モデルの精度面で課題もあるが、今後の課題解決を期待し、本発表をベストポスター賞に推薦する。 

2-C-05
自動運転技術の過渡期における渋滞軽減効果手法
○古川義人, 清原良三(神奈川工科大学), 徳永雄一(三菱電機), 斎藤正史(金沢工業大学)

手動運転と自動運転の混在環境を想定し、無信号丁字路交差点における渋滞に焦点をあててシミュレーションを行ったものである。路車間通信が可能な車両が速度調整を行うことで渋滞が軽減する可能性があることが示されており、今後の研究展開が期待できる。質問に対する回答も的確であった。 

3-A-09
カーナビアプリを活用した逆走対策
○小川佳裕, 萩原武司(阪神高速道路),
渡辺俊彦(ナビタイムジャパン), 太田恒平(トラフィックブレイン)

セッション全体にアプローチも観点も大きく異なる発表が並び選定が難しかったが、その中で研究手法、問題の分析、検証方法など的確に行われ、発表・質疑とも申し分なくされていた。実装面などで課題は残るものの、評価に値する研究発表と判断し、今後にも期待したい。高速道路会社がソフトなアプローチをした点も評価したい。

3-B-10
エネルギーライフログデータベースとV2G技術を用いた
再生可能エネルギーとピーク需要を平衡させるシミュレーションシステム

○茨木隆兵, 田中雄哉, 富井尚志(横浜国立大学)

グリッドや環境までを考慮した広い視野からEVを活用する再生可能エネルギーシステムの提案につながる研究発表であった。

3-C-06
異なるタイプのボトルネック上流における歩行者交通流基本図の実験的評価
○張嘉華(東京大学), 井料美帆(名古屋大学), ディアス チャリタ(東京大学)

本研究は、歩行者交通流について、異なる幅員や交通流率でのボトルネック上流における交通流基本図を、単純ボロノイ図を用いて実験的に評価したものである。ボトルネックの幅員が同じで交通流率が異なる場合において、密度の分布が変わらずに速度分布が変動することを明らかにするなど有益な知見が得られており、歩行者交通流を対象としたITSの取り組みを発展させる上で、一定の貢献が期待できることからベストポスター賞に値すると判断した。

 バンケット 12月7日(木)

会場: イタリア料理店 イトリー・イト
          九州大学 伊都キャンパス 椎木講堂2階